ここが神戸ポップロック最前線!『鼓動オーバードライブ』ライブレポート!

2月28日D×Q神戸にてマーマレードペンギン×Girls will be Girls×ORDERの神戸若手3バンドによる合同企画”鼓動オーバードライブ”が開催された。
「これからのポップロック最前線は神戸の俺たちだ!」という意志の元に開催された今回の企画。とはいえ昨年5月に私の企画に出演経験のあるマーマレードペンギンはともかく、Girls will be Girlsは10月に初ライブ、ORDERに関してはこの日が2回目のライブと、どこまで形になるか正直私は不安があった。
ただ宣伝も頑張り、会場はほぼ満員。あとは3組が大学のサークルの繋がりとのことで、どれだけ身内感のないライブができるかというところに注目しながら見ていた。

結果、Girls will be GirlsとORDERの2組は当然まだ伸び代はあれど、神戸外のライブハウスでも「神戸ロックバンド」と胸を張ってライブを始められるバンドになれると期待を持った。そしてマーマレードペンギンはこの1年で想像以上に進化していた。

当日感じた新しい神戸の風を、何とかまずは他のライブハウスに届け!という願いを込めてレポートを作成した。マーマレードペンギンの夷子から「めっちゃ厳しく書いてください!」と言われたため、少し品評っぽくなったのはご容赦ください。
それではどうぞ!

ORDER

photo by kura

「鼓動オーバードライブ始めようか!」と、とも(Gt.Vo)の叫びで『花火』からスタート。彼の常に全力で心の底から吐き出すような少しハイトーンな歌声は力強さも儚さもある。そこにコヒラ(Ba)、りょうへい(Gt)、アキラ(Sup.Dr)が生み出す攻撃的なメロディーがエモーショナルに絡む。疾走感があったり、シリアスな雰囲気があったり、語りのパートを入れている曲もあったりと幅広い楽曲。照明との相性の良さも感じた。ともは「ずっとバンドがやりたかった」とMCで話しており、マーマレードペンギンに助言をもらいながら、やっと組めたこのバンドでやりたいことが本当に沢山あるんだろうなと、この日披露した6曲の様々な切り口からも感じた。その中で『3000円のコーラス』のダイナミックな音にはフロアから自然とクラップも起こっていた。コヒラもその多彩なリズムを作りながらノっていたし、りょうへいもギターソロをしっかり響かせていた。

1月21日に初ライブをした時「他のバンドの本気度に圧倒された。悔しい以前に同じ土俵に立てていないと思わされた。同時にやっぱりロックバンドがめちゃくちゃ本気で音楽をするのはカッコよくて、この姿になりたいのは間違いじゃないと思った。これからも行けるところまで進み続けて、もっとカッコいいバンドになります」と決意表明。それはアットホームな雰囲気もあるこの日でも、ちゃんと勝ちにいく、喰らいついていくという姿勢を見せ、ライブハウスイベントを盛り上げるトッパーとして、しっかりフロアを熱い気持ちにさせてくれたことが証明しただろう。

場数と練習を重ねなければならない面はどうしてもある。きっと調子のムラに苦しむこともあるだろう。しかし打ち上げの時にもサブスクやMV、オーディションのことなど貪欲に考えていた。今、高まってるバンド熱をこの春から、いろんな場所で見せていってくれ!

photo by kura

<セットリスト>
1.花火
2.快晴今日も晴れ
3.ペトラ
4.エンゼルナイト
5.濃い青
6.3000円のコーラス

Girls will be Girls

photo by kura

登場から独特な空気感、そして歪んだギターの音色を響かせて始まった3ピースガールズバンド・Girls will be Girls。1曲目『その理由』はほはる(Gt.Vo)の淡々としながら、シューゲイザーやマスロックの要素を感じるサウンドと絡んで、浮遊感を出す。どこまでも広がりを見せるさな(Ba)と苺花(Dr)のリズム隊の音も力強くて心地よい。続く『Good bye』『花束』も景色が広がるような心地よいサウンドとスッと体に入る歌詞が続き、リラックスしながら横揺れするフロアが見れた。

ただ折り返した4曲目以降は力強い骨太で熱量のあるバンドサウンドを掻き鳴らす。特に5曲目の『!』は先ほどまで感じていた偏差値はどこにいったのかと思うほどの本能的な歌。ただこれくらい抜けているくらいがベストと思わすショートチューンで会場を盛り上げた。この味変の組み合わせは私自身はとても面白いと思ったが、D×Qのブッカーはどっちかのサウンドに寄ってもと意見が分かれた。ぜひこれを読んでいる皆さんも現場で見てみてお気に入りの曲を彼女達に伝えてほしい。

そういう面も含めて、等身大の中に様々な可能性を見せた。ただ共通しているのは、淡々で穏やかさがありながら芯もしっかりあるほはるのボーカルと、引き立てる2人のリズム隊がストレスフリーな空間を作り上げていて、体感時間が短く感じられるバンドだった。世界観を持っている分、勢いで誤魔化せない部分もあって、その点の完成度を上げる必要はあるとも思ったが、まだ最後に披露した『17』で初サブスク配信が決まったばかりのバンド。きっとこれからほはるがMCで話したように「皆の好きなバンドになる」そんなバンドになれる。皆さんも略称は”ガルガル”で覚えておいてください。

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<セットリスト>
1.その理由
2.Good bye
3.花束
4.ながれぼし
5.!
6.きみの好きなバンドになりたい
7.17

マーマレードペンギン

photo by kura

トリを務めるのはマーマレードペンギン。今日は3バンド合同企画だが、そのサークルの中でも先輩として、そして対外的なライブも特にこの1年で増えた神戸のロックバンドとして今日の日を引っ張ってきた。
その姿は1曲目『秘密の耳』の谷田英雅(Ba.Cho)のイントロのベースソロの上手さでいきなり見せる。その曲の持つダークな世界観は演奏だけでなく、夷子真生(Gt.Vo)もしっかり憑依させて歌い上げていた。2曲目『疾走讃歌』では一転爽やかなロックチューンを繰り出す。続く『インナーチャイルド』『まだまだ』もそうだが、心を軽くするような胸躍るポップなリズムは、地に足が着いた強固さから生まれていることが分かる。ちなみにそのリズムの基盤となるドラムの平尾大地(Dr)はこの企画の前日から当日のリハまででスティックを3本折っており、どうやら本番でも折っていたらしい。そのパワーにつられるようにフロアも拳を上げたり、自由にノっていた。

MCで夷子は共演した2組に感謝し「バンドをやっていてカッコいいと思われる瞬間は思われている100倍少ない。白い眼で見られることの方が多い」と話しながらも、「ORDERもガルガルもこれから苦難はあると思うけど、支えてくれる人達から力をもらって僕らもバンドを続けられている。今日見に来た皆さんはこれからも力を分けてあげてほしい」と伝えた。そして「神戸のポップロック最前線、僕らで作ります!」と話し、『この街で』から後半戦をスタート。矢野悠真(Gt.Cho)のギターは温かみもありながらタフなメロディを鳴らし続ける。それは実にポップロックらしい耳鳴りを生んでいる。そして谷田が所狭しと跳び続けている姿は会場の躍動感を失わせない。
あっという間の3曲が終わり、再びMCへ。バンドにあったセンシティブな過去に触れながらも「誰かを救えるような音楽を届けられるように、誰かの力になれるように、これからも神戸でポップロック最前線を担ってやっていくので、これからもどうかよろしくお願いします」と話し、会場からは拍手が起こる。そこから演奏された『越えて』の<僕らなら乗り越えられる>という歌詞はシンプルでも生半可ではない気持ちが伝わってきた。

そして感謝を伝えながら「同時期に始めた20組から30組のバンドは1組以外全部消えた。その中でメンバーや支えてくれる人や見てくれる人のおかげで続けられてきた。そんな僕らの歴史の歌」と『今日も飛べない僕たちは』を本編最後に演奏。「みんなのおかげでマーマレードペンギンは最高にカッコいいバンドだって言える!」「ORDER、ガルガル!最高の仲間達と駆け抜けるんだ!」と曲中話した夷子がお立ち台でギターを弾く姿はとても良い顔をしていた。そしてフロアからも「その翼に僕らも乗せてくれてありがとう」という空気が流れ、大きな拍手に包まれ、本編は終了した。

photo by kura

アンコールに登場した彼らは「こんな夜がずっと続けば」と話して『夜よそのまま』を演奏。平尾のドラムソロもあったり、変わらぬ力強いポップを鳴らし続けた。そして改めて「神戸のポップロックは俺たちに任せろ!」と伝えた。そして最後は3バンドで合作曲『鼓動』を披露。3バンドのボーカルにORDERのりょうへい、ガルガルの苺花も加えたゆったりとしたナンバーはエンドロールに合っていた。<またここで会おう>という歌詞をしっかり受け取り、鼓動オーバードライブは閉幕した。

ママペンには正直この日の完成度で言うことは見当たらない。強いて言うなら、キラーチューンの有無かと思っていたが、特にセトリ後半の曲はいつできた曲かまでは分からないが、確実に今のママペンにしか通えない血が入っていてポップながらも個性を感じ、さらに成長していく楽曲に感じた。
あとは外でも自信持ってやって、関西のサーキットイベントや東京でも神戸の鼓動を響かせる未来を心から待っている。

<セットリスト>
1.秘密の耳
2.疾走讃歌
3.インナーチャイルド
4.まだまだ
5.この街で
6.新曲
7.BeStar
8.越えて
9.今日も飛べない僕たちは
En1.夜よそのまま
En2.鼓動(3バンド合作曲)

photo by kura

ライター:遊津場(X):https://x.com/sakidori_yutuba
        (Instagram):https://www.instagram.com/sakidoriyutsuba/
カメラマン:kura(X):https://x.com/kura_cmr
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