【ライブレポート】「揺らいで凪 One Man Live “1”」

2023年12月19日2024年1月27日

“待ち合わせは、日々の静けに” 2021年に結成したバンド揺らいで凪が神戸PADOMAにて、自身初となるワンマンライブを開催した。
初のワンマンライブへの期待が広がる場内では、観客たちが各々お酒を飲みながら仲間達と楽しんでいる。そんな中暗転し、ステージの幕が開いた。
「本日は来てくださってありがとうございます。揺らいで凪という音楽を丁寧に伝えて、ここにいるみんなと素晴らしい日を作っていきたいと思います。揺らいで凪、始めます！」とGt/Vo.nanai kieが伝えると疾走感のあるバンドサウンドで「カフネ」がスタート。
胸を打つドラムのサウンド、心を躍らせるようなギターのメロディとベースライン。爽やかさもありながら芯のある歌声。一瞬で会場の空気感を作り上げていく。満席の会場を見た彼女の顔からは思わず笑みが溢れていた。休むまもなく続いて、「ピリオド」を披露。会場からは手拍子の音が奏でられる。色鮮やかな照明にあてられて演奏するメンバー達。「ありがとう。」の一言に会場からは拍手が送られる。

「雨の日に漂うペトリコールという曲を。」雨音のようなギターの音色がエモーショナルに場内に響き渡っていく。一つ二つと表情を変えていくギターのメロディが彼女の歌声と共に心にスーッと入り込んでいく。

続いて、「セルティ」。静かな場内に彼女の歌声が響き渡り、そのまま心の奥底まで入り込んでいく。バンドサウンドが大小と音を変化させるからこそ、彼女の透き通るような素晴らしい歌声が観客たちにより一層伝わっていくのだろう。「懼れ知らず」では、Gt/Vo.nanai kieが曲タイトルを噛んでしまい「かみました」と報告をする彼女に観客たちよりツッコミが入った。アーティストとしての表情と彼女の素顔でギャップを感じられた瞬間でもあっただろう。

「改めまして、本当に今日は来てくれてありがとうございます！今日のために頑張りすぎて、お別れみたいな気持ちになってて、、こんなに来てくれると思ってなかったので嬉しいです。」会場には初めてライブを見に来てくれた方もいた。今日という日に来てくれた一人一人に向けて感謝を伝え、新曲「朝霧」を披露。霧のように浮遊感のあるギターのサウンドと彼女の歌声が会場を魅了する。

「きみがその小説を閉じた後ここになにが残るんだろうね。私はまだここにいて、栞のようにとどまったまま。」と「スピン」がスタート。バンドが作り出す歌詞の世界観に気づけば観客全員が聴き入っていた。まるで心の琴線に触れるかのように。
「今からは私だけで歌います。」とGt/Vo.nanai kieがアコースティックギターをもって1人でステージに立つ。「楽しんでいただけてますか？」という問いかけに拍手で答える会場。「みんながここにいてくれてる事実にずっと泣きそうです。私は、人に言われる言葉とか褒め言葉を素直に受け入れられなくて、そんな自分の性格がもったいないなと思うこともあってこの曲を作りました。」彼女のそんな想いが詰まった楽曲「優しい何か」が披露された。
アコースティックギターの音色にのせて彼女の透き通るような歌声は、バンドとはまた違った表情を見せ、やさしく温もりを感じられる音楽が届けられる。
「普段は弾き語りライブとバンドのライブを分けてます。バンドの曲をみんなに聴いてほしくて普段はしませんがワンマンなので挑戦してみました！」

「みんな帰ってきてくれたのでバンドの曲に戻ります！スポットライトという曲を。」
アコースティックギターの音色とぬくもりのある歌声は弾き語りの雰囲気を漂わせ、エモーショナルなエレキギターのサウンドがスポットライトのようにあたたかく照らし出す。静かなサウンドから後半になるとギターのサウンドが際立ち徐々に壮大になっていく。この緩急のあるサウンドがバンドとしての魅力をより引き上げるのだろう。
心拍数のようなサウンドは、まるで胸の痛みを表現するかのように場内に響き渡っていく。MVも公開されている「ある追慕、ただの日々」が披露される。力強い重低音のサウンドが会場内に広がっていく。

「次は、同じ深い海をテーマに持った2曲を続けてやろうかと思います。Merr(II)owという曲を。」力強いドラムのサウンドは、心の鼓動を高鳴らせる。ギターが奏でるメロディは深海に沈んでいる様子をイメージさせる。Gt/Vo.nanai kieはギターを置き、より一層感情を込めて歌い上げていく。続いて、海底。青い照明の中丹精込めて歌い上げる彼女の姿は人魚のよう。深海をテーマにした2曲はひとつの物語を見ているような気持ちにさせてくれた。

「ありがとう。」の声に大量の拍手が届けられる。

Gt/Cho.金岡竜丸が「バンドとして初の試みだったんですが、きっかけがあり今日という日に向けて動いてきました。いろいろとこれまであってこのメンバーでやってきました。今日という大事な日にみなさんが来てくれて嬉しいです。ありがとうございました！」と感謝を伝える。
Gt/Vo.nanai kieは、「今日に向けてがんばってきました。来てくれたことがどれだけ嬉しいかというとめっちゃくちゃ嬉しくて、なんでこんなにも嬉しく思えてるのかというと今日まで悔いなく4人でやったからこそ頑張って来れたんだと思います。これからここにいる人達と一緒に前に進んでいけるようにがんばっていきます。今日はこれまでの集大成ではなく、これからに向けた揺らいで凪としたのでよろしくお願いします！」とこれまでの感謝とこれからの決意を語り新曲「独り歩き」を披露。
ベースラインが際立ち、どこか懐かしさを感じられるメロディ。これまでの楽曲達とは大きく雰囲気を変え、自然とドラムのリズムにあわせて体は横揺れしていく。一瞬の間が曲をより一層盛り上げてくれた。

続いての新曲「オルター」は疾走感のあるロックサウンドがまた一つバンドとしての新たな表情を見せてくれる。色鮮やかな照明が会場を照らし続ける中、揺らいで凪が作り出す独自の世界観に魅了されていく観客たち。初めて彼女たちを見た人たちもその世界観にしっかりと心を掴まれている様子を伺えた。

来年リリース予定の新曲「春に会う」は、力強いロックサウンドの中、透明感があり芯のある彼女の歌声が際立ちを見せる。Gt/Cho.金岡竜丸は、ステージ前方に立ち、体を揺らしながらギターソロを披露して会場を盛り上げた。
「今日というこの景色を忘れないようにこれからも進んでいきます。今日は本当にありがとうございました」と改めて感謝を伝えて最後の楽曲、「鳴らすモノ」を披露。今日という一日への感謝とお客さんへの感謝を込めて歌を届ける彼女の表情からは楽しさが伝わってきた。ワンマンライブにこれまでの活動を込めてきた、だからこそ今日繋いできた楽曲たちを心を込めて鳴らしたのだ。

余韻を残すギターの音色と共に会場からは大きな拍手が送られる。一瞬の間もなくアンコールの声が観客達から届けられる。「本来、違う曲をやるんですが本編に全部注いだ為アンコールの曲がありません。1曲目に披露した楽曲をもう一度やって終わろうと思います！本当にありがとうございます！」と「カフネ」を最後に披露してアンコールに答えた。会場からは手拍子が鳴り響く。今日に向けて動いてきたバンド活動、最後はあたたかい観客たちと一体となり音楽を届けてくれた。

初のワンマンライブという大きな舞台を終えた、揺らいで凪。このステージはバンドにとって大きな経験となったことだろう。
揺らいで凪は、バンドシーンを今後揺るがす存在になっていくことは間違いないだろう。

セットリスト
1.カフネ
2.ピリオド
3.ペトリコール
4.セルティ
5.懼れ知らず
6.朝霧(新曲)
7.スピン
8.優しい何か
9.スポットライト(新曲)
10.ある追慕、ただの日々
11.Merr(II)ow(新曲)
12.海底(新曲)
13.独り歩き(新曲)
14.オルター(新曲)
15.怪獣が来る前に(新曲)
16.春に会う
17.鳴らすモノ
en.カフネ