【ライブレポート】結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH, NO MUSIC.』

2024年4月20日心斎橋 歌う魚にて記念すべきライブが開催された。シンガーソングライターとして活動する結城アツシと芳仲悠人が大阪府箕面市で出会ってから25周年となるツーマンライブ『NO MINOH, NO MUSIC.』。小学校1年生からの付き合いとなる2人が、様々な経験を経て、現在は同じミュージシャンという道を歩んでいる。

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演
『NO MINOH NO MUSIC』

これまでの25年という歩みの中で出会った数多くの人たちが会場には訪れていた。期待に胸を膨らませる会場は暗闇に包まれ、主役の2人にスポットライトが当てられる。
「今日は来ていただきありがとうございます!楽しみたいと思います!早速ですが、手拍子をもらってもいいですか?」と結城アツシが挨拶をすると、芳仲悠人の楽曲『音酒と祝宴』を2人で歌い上げていく。彼らのイベントを祝福する仲間たちが手拍子をおくる中、あたたかく優しい歌声でハモりをみせ、アコースティックギターの音色にのせて2人の思い出が人々に伝わるかのように歌声が届けられていく。

「これからの順番は決めてませんのでじゃんけんをします!」勝った方が2番手となるじゃんけんに勝利をしたのは芳仲悠人。結城アツシから芳仲悠人へとバトンが繋がれる流れが決まった。

結城アツシ

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』

ライブが始まる前には2人がお互いの印象を語り合うムービーが流れ、会場は笑いに包まれた。「結城アツシ、始めます。よろしくお願いします!」と挨拶をして1曲目『バナダンス』からライブがスタート。ギターの音色と彼の色気のある歌声で、先程までのムービーで笑いが起こっていた会場の空気を一瞬で変えていく。どこか懐かしさのあるメロディと社会に訴えようとする歌詞が心をざわめかせる。

続いて、『マジックアワー』では、雰囲気を一変し、あたたかいライトにあてられた彼が、優しい歌声で曲を届ける。「そうだったんだね」と告げる歌声から儚さが感じられた。『まな板』では、がらりとあいた部屋のスペース、まな板にのこる醤油のシミ、何気ない変化から伝わってくる切なさが綴られた歌詞がギターのメロディにのせて情景を脳内で浮かばせる。

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』
結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』

「めちゃくちゃ緊張してます。肩を並べてライブをしていると対等に並んでいる感じではありますが、悠人は僕にとって尊敬をする憧れのミュージシャンです。」

流れ星を表すかのような疾走感のあるメロディにのせて、彼を追いかけ続ける決意と尊敬の意を『流星群』に込めて届けてくれた。曲が終わると少し照れながらも「楽しんでますか?」と彼が聞くと拍手で返す観客たち。

このイベントと同じ日にライブを再スタートした彼が大好きなバンド、サカナクション。「もし予定が被ってなかったら行きたかったです。」と大好きな想いを伝えると、敬意を込めてサカナクションの『エンドレス』を披露。これまでSNSでもいろんなアーティストのカバーをして動画をアップしてきた彼が、この大切なイベントの中で大好きなアーティストへの想いを込めて歌い上げた。続いて、『湯気と月』。エモーショナルなメロディに彼の優しい歌声があわさり心の中にスーッと入り込んでいく。この楽曲は、彼がサカナクションの配信ライブを観て作った楽曲でもあり、歌詞の中にあるワード【果てない歌】とは先程の『エンドレス』のことを歌っている。
続いては、芳仲悠人がボーカルを務めるバンド、キノミキノママの楽曲『余裕シャクシャイン』をカバー。キノミキノママのもつ空気感を纏いながらも彼の優しい歌声が曲の世界観を伝えてくれる。

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』
結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』

「出会って25年。2人とも音楽をやっていたからこそ、こういう1日が作れて嬉しいです。ライブハウスにシンガーとして出る前から歌っている楽曲です。」とシングルの表題曲でもある『ミュージック』を披露。彼の人間性が溢れたこの楽曲を歌うことへの決意。今日という日だからこそ、彼の想いがより一層伝わってくる。

「春がどこかに行ったなと早くも思って、季節が巡ることを感じました。季節が巡る中でいろんなことを忘れていくと思います。そんな気持ちを忘れないためにこの歌を歌いたいと思います。春巡。」
春夏秋冬が巡る中、忘れてしまう情景や感情。その瞬間を忘れずにいたいという気持ちを描いた彼なりの春ソング。ひらひらと舞う桜を彷彿させるギターのメロディが歌詞と共に心に伝えてくれる。

「最後の曲です。今日でライブ活動はしばらくお休みをして楽曲制作にあてていきたいと思います。自分が何のために歌っているか分からない時も正直ありました。そんな気持ちもあって、休みたいと思っていましたがこのイベントをやって、みんなの前で改めて歌いたいという気持ちになりましたのでまた戻ってきます。」

音楽活動を行うにあたって、いろんな感情が彼の中にも溢れていたのだろう。だが、今日という1日が彼の今後の活動の後押しになったことは間違いない。

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』

「だれかの背中を押したいと思って音楽を作っていきましたが、背中を押したい人は押されなくても頑張れちゃいます。今はそんな曲も歌いたいけど、自分も含めて、毎日を生きるのが精一杯と思う人を支えられるような音楽を作れたらなと思うようになりました。」
そんな想いを抱き、彼と関わってきたたくさんの仲間たちの顔を思い浮かべながら作った新曲『夜虹探索』を最後に披露。これまで続けてきた活動、日々の生活、いろんな場面で感じられる想いを歌にしたこの楽曲は、結城アツシの等身大の感情が込められたメッセージソングに仕上がっていた。彼のこれまでの25年間の想いをミュージックに込めて目の前の人たちに歌を届けてくれた。

セットリスト
1.バナダンス
2.マジックアワー
3.まな板
4.流星群
5.エンドレス(サカナクションcover)
6.湯気と月
7.余裕シャクシャイン(キノミキノママcover)
8.ミュージック
9.春巡
10.夜虹探索

芳仲悠人

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』

結城アツシのライブの余韻に浸る会場に再度ムービーが映し出される。映像を楽しむ観客たちの中、緊張感がありながらもライブの準備をする彼の姿があった。

「1曲目は僕が初めて作った曲を歌いたいと思います。」と『夏空割って』を披露。夏の風を表すかのように爽やかなギターの伴奏と芯のある歌声が夏の情景を浮かばせる。
「ムービー、ライブ、ムービーと、感情が分からなくなるようなイベントです。僕も結城アツシも全体的に真面目な曲が多いですが、今日は土曜日なので、ハッピーな曲を歌いたいと思います!」と『明日は休日』を披露。カズーの音色が会場に彩りを与え、リズムに合わせて自然と会場では手拍子が広がっていく。手拍子と彼の温もりのある歌声が場内を包み込み、幸せな時間を作り上げていく。

「結城アツシとは小学校から一緒で、気がついたら出会って25年になりました。」と思い出を語りながらも「次は冬の歌を歌います。」と、降り注ぐ雪をイメージさせてくれるようなギターの伴奏で『ふゆのうた』がスタート。サビ前にはギターの音を止め歌声を際立たせることで、心にグッと差し込んでくる。力強くも繊細な彼の歌声に魅了されて聞き入る観客達。

続いて始まったのは『No Name』。サビに向かうにつれて徐々に盛り上がり、彼のフェイクによって曲の世界観に一気に引き込まれていく。エッジの効いた歌詞から伝わってくる心の叫び。そんなメロディと歌に魅了されて会場からは大きな拍手が届けられた。

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』
結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』

「さっきは尊敬していると言ってくれましたが、弾き語りをスタートしたのも、CDをリリースしたのもあっちゃんが先です。僕にとっては、彼がずっと前を走っているように感じています。」と、結城アツシへの感謝と敬意を語る彼が次に披露したのは『浮遊体』。少ない音数だからこそ、彼の歌声がストレートに伝わってくる。優しくも儚い彼の想いが歌となり、目の前の人々へと伝わっていく。

そして今度は、結城アツシの楽曲『湯気と月』のカバーを披露。結城アツシの優しい歌声とはまた表情が変わり、儚くも力強い歌声で音楽を届けてくれた。続いては、雨の日にぴったりな楽曲『ペトリコール』。ポツリポツリと降り注ぐ雨の音を表すようなギターの音色。彼の歌声が伝える想いを通じて瞳から雨が溢れそうだった。

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』
結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』

今後の活動予定を伝えて『心象風景』を披露。疾走感のあるメロディと華やかな歌声が、風に乗せられるかのように観客達の心へと響かせていく。「終わっちゃうね、嫌やね!休むとか言ってたけどさ、俺は結城アツシのファンやから音楽はやめないでほしい。あんな曲、あんな歌詞を書きたいし、真摯に音楽に向き合う彼が道標になっています。本人は色々言ってるけど、30年目もやろうね!」と、結城アツシと今日のイベントに来てくれた多くの仲間たちに約束をする。

「これからもよろしくお願いします!」と挨拶をして最後は彼のシングル表題曲でもある『満月のカンヴァス』を披露。情景を浮かばせてくれるメロディと歌詞。一度聞くと魅了される彼の音楽達が会場中の人達の心に突き刺さったことだろう。

結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演 『NO MINOH NO MUSIC』

セットリスト
1.夏空割って
2.明日は休日
3.ふゆのうた
4.No Name
5.浮遊体
6.湯気と月(結城アツシcover)
7.ペトリコール
8.心象風景
9.満月のカンヴァス

彼らへの祝福の拍手から、アンコールの手拍子のリズムへと変化する。ステージに結城アツシも再度登場し、会場に来てくれた人達に感謝を伝える。

「今度は箕面市にあるホールでライブがやりたい。」と、これからの活動にも意欲を見せ、5年以上前に2人でカバーをした楽曲、the pillowsの『スケアクロウ』を披露。2人のギターの伴奏と重なり合う歌声が会場中に広がっていく。それぞれの個性が合わさるからこそ楽曲に彩りを与えてくれる。重なり合う歌声は、長年ユニットで活動をしていたかのようにまとまりを感じた。

「いろんな人の支えがあって今日があります。これまでの縁で出会ってくれた人がいます。」
改めて今日という1日とこれまでの25年間で出会った多くの人たちに感謝を伝えて、最後の楽曲を披露する。
「すごく特別な曲です。今日、2人で一緒に披露できるのが嬉しいです。」と芳仲悠人。「いろんなまたねを繰り返して今日があります。」と、結城アツシから芳仲悠人へ贈られた楽曲『悠縁冒険譚』を2人で披露。芳仲悠人の結婚パーティーの際に披露された曲で、2人の25年の歴史が詰まっている歌詞からは、これまでの彼らの道のりが伝わってくる。決して順風満帆とはいえないかもしれないけど、一つ一つ向き合いながら前に進んできた。
彼らの繋いできた歴史を歌に込めて、今日という1日を祝ってくれた大事な人たちに感謝を伝える。

出会ってから色々なことを経験し、刺激しあい、音楽という道で挑戦をし続ける2人。日々の生活や音楽を続ける中で様々な苦労もあったことだろう。ただ、彼らにはたくさんの仲間や支えてくれる人達がいる。彼らの良縁が大切な1日を作り、次のステージへと繋いでくれた。

そして、5年後となる30周年に向けてそれぞれが歩み、成長をしていくことだろう。そんな彼らの成長をした姿を5年後改めて記録に残すためにも、私も負けないように挑戦していきたい。彼らの冒険譚は、まだ終わることはない。

En1.スケアクロウ(the pillows cover)
En2.悠縁冒険譚

≪結城アツシプロフィール≫
「夜の隅に寄り添える歌」を目指し関西を中心に活動している、会社員系ミュージシャン。
音楽とお酒とアニメ、そして山をこよなく愛するアウト&インドア派。
≪SNS≫
X(旧Twitter)
https://twitter.com/yuukiatsushi
TikTok
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Instagram
https://instagram.com/yuuki.atsushi.official?igshid=MTNiYzNiMzkwZA==

《芳仲悠人プロフィール》
大阪を拠点に活動するシンガーソングライター、ヴォーカリスト。 2023年6月25日に1stシングルとなる『満月のカンヴァス』をリリース。 現在もライブハウス、イベントなど幅広く活動を行っている。キノミキノママのギターボーカルとしても活動中。
《SNS》
X:https://twitter.com/yujin_musichann
Instagram:https://www.instagram.com/yujin_musichann/
Youtube:https://www.youtube.com/@yujin_musichann

○『NO MINOH, NO MUSIC.』関係者
会場:Live&kitchen【歌う魚】https://twitter.com/utausakana0901
supported by『PLUS OVER !!!!』team
カメラマン erina tennoujidani, kenta tennoujidani, 奥野隆弘
ロゴデザイン ながしちゃん
ライブレポート RYO