でっかくて、どこか記憶にある愛の形で溢れた磔磔!The Slumbers、京都ワンマンライブレポート!

photo by Kaishu Yagi

6月27日(金)、京都発“令和のネオ・フォークロックバンド”The Slumbersが、地元京都・磔磔にてワンマンライブを開催した。

彼らは「スランバーズ単独演奏会〜ONEMAN THE SLUMBERS 2025夏〜」と銘打ち、東西ワンマンライブを企画。《京都・磔磔編》《東京・下北沢編》となっており、東京編は7月5日(土)に下北沢DaisyBarにて行われる。

今回の京都編のレポートは東京編が控えているため極力ネタバレを避けたが、最高が詰まったこの日の空気感は伝わると思う。より東京編が楽しみになると思うし、今後もこのThe Slumbersを追っていきたいと思うはずだ。

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18時半に開場すると、次々と磔磔にお客さんが入ってくる。その客層は老若男女がバランスよく集まっていて、彼らにしかない音楽を楽しみにしていることが伝わってくる。週末であり月末のこの日だが、何とか仕事などを調整して間に合わせた人も多いのだろう。

そして待ちに待ったSEが鳴り出すと、磔磔の特徴でもある後方の階段からメンバーが降りてきて登場し、拍手するフロアを通ってステージに上がっていく。そして佐々木智則(Vo/Gt)が「始めよっかな!」の合図で音を鳴らしてライブスタート。骨太なロックビートを軽快に鳴らし、佐々木が解放的に歌う姿に会場のバイブスも一気に上がっていく。拳もしっかり上がって、一緒に歌う人も多い。この光景に佐々木も笑顔だし、上西響(Ba/Cho)もクルクル回りながら演奏していてテンション高い。中田京悟(Gt/Cho)、菅野哉太(Dr/Cho)の演奏もどんどん熱を帯びていく。

佐々木 智則(Vo/Gt)
photo by Kaishu Yagi

高い熱量のままMCに入ると「待ってたよー!2年半ぶりの磔磔!やっぱ磔磔ってだけでテンション上がるもんな!」と興奮の佐々木。「大丈夫?暑くなかった?雨は何とかこっち側で止めといたんやけど」と天気を操っていたことを冗談交じりに伝えた後「最高や。まず健康にこの日を迎えられたことを嬉しく思っております。ありがとうございます!」と感謝する。そして「お客さん全員ここから見えるんですけど、普段の顔ぶれじゃない人結構おらへん?すごない?普段から来てくれる人もおるけど、今日初めて来ましたみたいな人も全然おって、素直にそれが嬉しい」と4人は喜ぶ。そして「ドラムス、菅野哉太!」を合図に演奏を始めていくメンバーを紹介していく。そして音がどんどん重なっていって生まれていく燃え盛るメロディ。『若すぎた僕たち』の悲しみを知ってもそれでも前へ前へ止まらず進んでいく楽曲の姿は、ライブハウスとして51年、建物としては酒蔵時代から108年生き抜いている磔磔ともリンクし、当然音源以上の力強さを見せつける。The Slumbersの曲からは様々な物事を回顧していることが伝わるが、それも全て抱きしめ今を全力で歌い、未来へ向かっていくという強い気持ちが伝わる。汗だくで歌う佐々木の表情がまた美しい。

中田 京悟(Gt/Cho)
photo by Kaishu Yagi

そんな佐々木はMCで「おーい!良いねぇ!みんな飲んでる?」とお酒をカウンターにもらいに行くなら今と伝える。途中”プシュッ!”という缶を開ける音が聞こえて「良い音鳴ってるねぇ!」。そして最近の新曲の話となり上西は「みんなで踊れるやつやったり、歌えるやつやったり、いろいろ作ってますねぇ」と話すと、佐々木は「ワンマンやるにあたって今までの曲をやるのはもちろん、何も進捗を持ってこないっていうのもちゃうやん?」と話し、新曲も披露。とても気持ちよく体を横に揺らせる曲なのでお楽しみに。この新曲からの流れ、心のデトックス効果が抜群だった。

上西 響(Ba/Cho)
photo by Kaishu Yagi

「最高です!もっかい頭からやってもいいくらい」と楽しむ4人。佐々木は「磔磔は染み付いているんやろうな。いろんな人のいろんなパワーが。肩を並べられているというのは失礼やけど、こうやって憧れの舞台に立てているという、これが続けたくて音楽続けているし、曲を書いたり、いろんなところ周ることの活力になるし、実際に対面で見てくれるというのが、純粋に励みになるんで。いつもどうもありがとうございます!」と改めて感謝を伝える。そして菅野にMCが振られるとフロアから「ドラムソロを聞かせてほしい!」という声が届き、急遽ドラムソロを披露!「怖いねー、ワンマンって」と言いつつ、しっかり盛り上げた。

終始ハピネスな空気。ただここで佐々木は「シリアスな話をしにきたわけではないけど」と前置きし、自身が思っているこの世界の向かう方向性について話し出す。バンドマンとして、日々生きる者として、説得力のある丸裸の言葉を、フロアもしっかり受け止める。「ここまで暑い中にも関わらず足を運んでもらって、お金を払って見てもらえている中で、それ以上の体験を持って帰ってほしいし、俺らも皆にこのバンド潰れてほしくないって思ってほしい。だから持って帰れるものを精一杯表現して帰ります。よろしく!」と話して始めた2曲は圧巻だった。佐々木の力強い歌声を支える3人のコーラスもこの曲の重要なファクターとして作用していることもよく分かる。

菅野 哉太(Dr/Cho)
photo by Kaishu Yagi

佐々木が「バンドやってて良かったー!」と叫んで始まった後半戦になっても、本能的に染み込まれたロック好きの魂が喜ぶ曲が続き、フロアから上がる声も大きくなる。菅野が衝動的なドラムプレイで魅せる場面も。

この菅野のアレンジは他のメンバーも聞いてなかったようだが「最近の音源と同じようにやるライブなんて大っ嫌い!ライブはライブでしか伝わらないものが絶対あるから。お互いにキャッチボールし合って、バッと合わさった瞬間に最高なライブになると思ってるから。今一度よろしくお願いします!」と佐々木。次の曲に向けたチューニング中も「よっしゃあ…やるぞ…!」と呟いている。そしてそのコミュニケーションは最後まで途切れるどころか、強固になっていくまま、本編のライブは終了した。

photo by Kaishu Yagi

アンコールで佐々木は「今日来てくれた人は、この先絶対後悔させないし、この日の磔磔ワンマンに私は行っていたと、必ず自慢できるように努めるから」と力強く宣言。そしてもう1つ大事な宣言も。そこからの4人の姿はまた一段とでっかく見えた。果てのない愛を伝え、「京都、The Slumbersでした!また会おう!」と最後は4人で肩を組んで挨拶して、京都ワンマンは終了した。

7月5日(土)《東京・下北沢編》のチケットは発売中。

この4人がいたら天気は恐らく大丈夫だし、あなたが本当に大事にしたい感情を思い出せるはずだ。

彼らは20代だが、良い意味で田舎のじっちゃん、ばっちゃんの家に来た時のような感覚に浸れるバンド。だから坊ちゃん嬢ちゃん、父ちゃん母ちゃんも寄っといで。そして夏休みの帰省を恋しく思っている東京人よ。忙しくて今年のお盆は帰省できないと思っている東京人よ。夏の思い出をThe Slumbersから始めることで、何か心が落ち着くはずですよ。

ライター:遊津場 https://x.com/sakidori_yutuba
カメラマン:Kaishu Yagi https://x.com/415issues?t

☆ライブ情報

The Slumbers「スランバーズ単独演奏会〜ONEMAN THE SLUMBERS 2025夏〜」
《東京・下北沢編》
2025年7月5日(土)
開場18:30 開演19:00

https://l-tike.com/theslumbers

☆公式リットリンク(SNSやMVはこちらから)

https://lit.link/TheSlumbers

☆最新MV「すべて満ちるまで」公開!