【新曲レビュー】RYO Weekly Music Selection 6選≪2025/11/19≫

こちらは、私が公式ユーザーを務めるストリーミングサービスの AWAで毎週水曜日に公開される『【邦楽】今週の最新曲』というプレイリストを全曲聞いてオススメの楽曲を紹介しています。

今週は297曲の中からおすすめの6曲を紹介します。ぜひ、新曲と出会うきっかけに。

米津玄師『トレモロ』

RADWIMPSのトリビュートアルバム「Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-」がリリースされ、参加アーティストが1曲ずつSNSで発表されていくたびに話題が広がっていった。全曲レビューしたくなるほどの完成度だが、その中でも心を強く掴まれたのが米津玄師による『トレモロ』だ。

多くの参加アーティストがそれぞれの色をまとわせて敬意を表す中で、米津玄師は“原曲の空気”をしっかり残したアレンジを選んでいる。忠実さの中に、米津玄師らしい声の質感や少年時代からのRADWIMPSへの想い――そんな“根っこ”の感情がにじむように宿っていて、聴くほどに胸が熱くなる。

歌い出し一瞬で空気を変えるあの存在感。原曲への敬意と、自分自身のルーツに触れにいくような誠実なアプローチ。このトレモロは、ただのカバーではなく“想いの継承”として心に深く残る1曲だった。

Mrs. GREEN APPLE『狭心症』

RADWIMPSのトリビュートアルバム「Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-」。その中で米津玄師『トレモロ』と並んで強烈な印象を残したのが、Mrs. GREEN APPLEによる『狭心症』だ。

「ライラック」「青と夏」などの爽やかでポップなイメージが強い人ほど、このカバーに驚いたはず。軽快さよりも“内側のざわつき”が前面に出た、重く深い表現。彼らの持ち味であるポップセンスを封じるのではなく、楽曲の世界観に自らを寄せていく“憑依型”のボーカル力が光っている。

今年リリースされた『天国』にも通じるような、心の奥底で渦巻く苦しみや焦燥。その感情を丁寧に拾い上げ、RADWIMPSの原曲が持つ痛みや脈動を自分たちの声とサウンドで再提示している。
その上で、アレンジの端々にしっかりと感じられる“RADWIMPSへの敬意”。ただ模倣するのではなく「受け取った想いを、ちゃんと返す」姿勢が胸に刺さる。

全曲を語りたくなるほどの衝動を生む、圧巻のトリビュートアルバム。
ぜひこの楽曲とともに、アルバム全体の物語にも触れてほしい。

ポルノグラフィティ『風波』

『THE REVO』のカップリングとして収録された『風波』は、聴いた瞬間に“ああ、ポルノだ…”と心がほどけていくような一曲。

哀愁を帯びたメロディがどこか懐かしくて、まるで淡いセピア色の記憶をそっとめくるような感覚になる。昭仁さんのまっすぐで温かい歌声は、張り上げるでも飾るでもなく、ただそのまま“やさしさ”を運んでくる。派手さはないけれど、その静かな強さと包容力が胸にじんわり染みていく。

『THE REVO』のような壮大な世界観とは対照的に、こちらは風が頬を撫でるような静かなバラード。その振れ幅こそがポルノグラフィティの魅力であり、「やっぱこの二人はこういう曲も最高なんだよ…」とファン心を改めてくすぐられる。

大きな物語の裏側にひっそりと佇む“もう一つの情景”。ぜひ、カップリングだからと侮らず聴いてほしい一曲だ。

OWV/OCTPATH『TWO THRONE』

2019年の「PRODUCE 101 JAPAN」元練習生4名によるOWVと、2021年の「SEASON2」元練習生8名によるOCTPATH。その二組がついにコラボした今作『TWO THRONE』は、まさに“両者の存在感が正面からぶつかり合う”一曲。

これまで新曲紹介でも幾度となく取り上げてきた両グループだが、今作ではそれぞれが持つ表現力や色気、スキルが遠慮なく前面に押し出されている。まるでステージ上でOWVとOCTPATHが向かい合い、目で、声で、ダンスで火花を散らすダンスバトルを観ているような熱量。エネルギーのぶつかり合いが曲の隅々まで満ちている。

両者の魅力をしっかりと生かし、互いの強さでさらに引き立て合う構成になっており、これまでどちらかのグループだけを追っていた人にも新しい扉を開いてくれるような楽曲だ。
このコラボがきっかけで、双方に新しいファンが流れ込み、さらに認知を押し広げる可能性を感じさせてくれる。

妄想リフレイン『なんかそう想う』

男女2人組の超絶ポップキラーバンド・妄想リフレイン。
2ndアルバム『夜革命計画』は、“夜につくられた10曲で革命を起こす”という彼ららしいコンセプトが詰まった作品だ。夜に生まれたアイデアや感情、ひらめきがそのまま音に落とし込まれているような、静けさと温度のあるアルバムになっている。

アルバムの幕開けを飾る『なんかそう想う』は、どこか懐かしさを感じさせるポップなメロディと、スッと耳に染み込む歌声が魅力。幻想的な空気感から始まり、そこから一気に彩り豊かな妄想リフレインの世界へと連れていってくれる。

多彩だけど過度に飾らず、素直な感情で編み上げられた10曲。彼らの“夜の革命”の始まりを告げるようなこの一曲から、ぜひアルバム全体を味わってほしい。

不眠旅行『homes』

先日、来年1月のライブを最後に“無期限活動休止”を発表した不眠旅行。
そんなタイミングで届けられた『homes』は、映画『レンタル家族』の主題歌として書き下ろされた一曲だ。

鍵盤のやさしくて丁寧なメロディ。
そこに重なる、彼女の透き通るのにどこかぬくもりを帯びた歌声。
イントロからすでに心の奥にすっと染み込んでいく。

これまでインディーズベストソングに2曲選出してきた不眠旅行。
その活動を見てきた側として、休止の知らせは正直さみしい。それでも、この曲から伝わる“変わっていく日々へのまなざし”を感じると、きっと彼女たちの音楽はこれからの人生にも寄り添い続けるんだろうと思えた。

それぞれの今後を、これからも静かに、しっかり応援していきたい。

AWAプレイリスト 収録

米津玄師『トレモロ』
星野源『いきどまり』
Mrs. GREEN APPLE『狭心症』
Saucy Dog『エデンの部屋』
優里『最低な君に贈る歌』
乃紫『プラチナ・キス』
Vaundy『前前前世』
j0Oji『雨酔い』
ずっと真夜中でいいのに。『有心論』
SEKAI NO OWARI『最大公約数』
ポルノグラフィティ『風波』
ROiROM『Dear DIVA』
OWV/OCTPATH『TWO THRONE』
上白石萌音『25コ目の染色体』
ヨルシカ『DARMA GRAND PRIX』
レイニ『ナイトサーカス』
NEK!『GiMMiCK』
竹内アンナ『P.S. I LOVE YOU』
ドラマチックアラスカ『あいうえお』
606号室『最後の恋人』
THE SIXTH LIE『Earthship』
Ochunism『Cosmic Love』
Black Petrol/Gimgigam『Stressor』
妄想リフレイン『なんかそう想う』
声にならないよ『やっかい』
不眠旅行『homes』
破滅ロマンス『拝啓、◯◯様』
The Mirraz『ねーよ』
やさしいみらい『ODOLIEN』
どんぐりず『LIFE LINE』

AWAプレイリストはこちら
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