【ライブレポート】『The Last Re+Birth〜僕らの旅路〜』

これまで何度もライブレポートを担当してきたイベント<僕らの旅路>。その主催である朝ステさんが、2025年8月9日に40歳の誕生日を迎える。今回はその前夜祭として、『The Last Re+Birth〜僕らの旅路〜』が開催された。これまでこのイベント、そして朝ステさんとの縁が深いアーティストたちが、祝福のために集結した。

この日のイベントは、普通のライブイベントとは一味違う。ステージ脇では、ライブペイントが飛鳥によってライブのスタートと同時に始まり、イベントの進行とともに1枚の絵が完成していく過程も楽しめる。また、枚方市駅直結に店舗を構える<志宴>によるおばんざいも振る舞われ、訪れた人々の舌も満たした。祝福と笑顔に包まれた、この特別な一夜の様子をお届けしたい。

photo by takumi
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Sae.

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おばんざいを味わいながらビールで喉を潤す。まるでビアガーデンのような空気に包まれた会場。その空気を、一瞬でやわらかく温もりあるものへと変えたのは、三重県在住のシンガーソングライター、Sae.だった。あたたかいギターのメロディとやさしい歌声が、穏やかな暖色の照明に後光をさすように響き渡る。1曲目『温度差』では、「花火が終わる前に」というフレーズが夏の情景を描き、優しい歌声が季節の空気を運んでくれる。

曲が終わると、会場から大きな拍手。「ありがとうございます!」と笑顔で感謝を伝え、テンポを上げて2曲目『今日の唄』へ。一度きりの人生だからこそ、悔いなく生きていこう。彼女が人生と真剣に向き合う気持ちがエネルギーとなり、聴く人の心にまっすぐ届く。

「朝ステさん、40歳の誕生日おめでとうございます!」とMCで祝福の言葉を贈る。路上ライブで朝ステさんと出会ったことがきっかけで大阪での活動が始まったというSae.。このFootRock&BEERSでのライブは1年ぶりだという。

3曲目は、人との縁を服に例えた『つぎはぎ』。出会った頃に戻れなくても、今でも素敵。そんな想いが歌詞から伝わってきて、やさしい歌声とともに胸を打つ。続く新曲では、日常の理不尽やしんどさ、悔しさ、泣きたい気持ちをそのまま受け止め、「自分らしく歩こう」とそっと背中を押してくれる。Sae.の温かな声だからこそ、歌詞がまっすぐに心へ入り込んでいく。

大阪に来る機会は多くはないという彼女。だからこそ、一つひとつの大阪での出会いを大切にしている。「また会えますように」と願いを込め、最後は『またね。』を届け、イベントのトッパーを務め上げた。

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セットリスト
1.温度差
2.今日の唄
3.つぎはぎ
4.新曲
5.またね。

<Sae.プロフィール>
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三重県出身・在住のシンガーソングライター。
<SNS>
X:https://x.com/sae_oniku_97
Instagram:https://www.instagram.com/sae97_oniku?igsh=MWo4Yms4OTJzZmV0NA==
Youtube:https://www.youtube.com/@sae_oniku_97

アキコ.

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「2番目務めさせていただきます、アキコ.です!」——元気な挨拶とともにステージがスタート。昭和歌謡やフォークソングに惹かれた、アコギ弾き語りシンガーソングライターのアキコ.。明るく元気な中にもハスキーな響きを持つ歌声で、1曲目『レモンタルト』を届ける。軽快なアコースティック・ギターの音色と芯のある歌声が、会場全体に心地よく広がっていった。

「朝ステさん、誕生日おめでとうございます!」と笑顔で祝福。2年前、エマージェンザの予選でカメラマンを務めたことがきっかけで朝ステさんと出会い、今日と同じこの会場で縁が続き、今に至るという。続いて披露された『3拍子のメランコリー』は、お花畑にいるかのようなやわらかなメロディが印象的。可憐な佇まいと、かわいらしさの中にも芯を感じさせる歌声で観客を惹き込む。

この日は同時進行でステージ脇ではアート制作も進行中。そんな空間のなか、音楽とお酒と食事を楽しむ会場に、まるで居酒屋のような活気を加えるのが『メリーゴーランド』。疾走感あるギターに合わせて手拍子が広がり、サビでは観客が腕を回して盛り上がる。

「このまま一緒に盛り上がっていけますか!」という彼女の呼びかけに拍手で応える観客たち。そんな反応を受けて、勢いよくスタートした『逃がした魚は大きいぞ』では〈逃した魚は大きいぞ!〉のフレーズに合わせて「ヘイ!」とコールアンドレスポンスが響き渡る。元気で明るい歌声に、会場は一つになっていった。

朝ステさんの好きな楽曲でもある、地元・大分県の両親への想いを込めた『郷がえり』では、それまでの賑やかな雰囲気から一転、しっとりとした表情に。両親の変化に時の流れを感じる歌詞は、聴き手にもそれぞれの故郷を思い出させる。私自身もメモを取る手を止めて両親の姿を思い浮かべていた。

「あー楽しかった! あと2曲ですが、いい時間でした!」と笑顔で語り、6曲目『モノクロの勇者』へ。力強くエネルギーあふれる演奏で、「誰もが自分の人生の主人公であってほしい」という願いを込める。ラストは『客人』(まろうど)。今日出会えたすべての人への感謝を込め、会場全体を温かな空気で包み込み、ステージを後にした。

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セットリスト
1.レモンタルト
2.3拍子のメランコリー
3.メリーゴーランド
4.逃がした魚は大きいぞ
5.郷がえり
6.モノクロの勇者
7.客人

<アキコ.プロフィール>
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昔ながらのフォークソングに魅了されアコギを始めました。大分出身大阪を拠点に活動中

<SNS>
X:https://x.com/utautainoakio
Instagram:https://www.instagram.com/utautainoakiko
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UC7b1lwdgCPdHXlJaN5NezJQ

姫野光太郎

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長身でスタイルのいいシルエットと、グルーヴィーなアコースティック・ギターのサウンドが印象的なシンガーソングライター、姫野光太郎。1曲目に披露したのは『おいらのスマホ』。スマホのバッテリーを題材にしたこの楽曲は、懐かしさを感じさせる洋楽サウンドに、令和らしい歌詞をのせたユニークな1曲。過去と現在が同居するような感覚が、姫野ならではの個性として際立つ。

2曲目『Cherry Boy』では、歌の途中に「ハッピーバースデーなんでしょ? そんなテンションでいいの?」と観客を煽り、場の空気を一気に引き上げる。一緒にこのイベントを盛り上げたいという思いが、表情や声色からも伝わってきた。

続く『髪を切った日』では、哀愁漂うクールで色気のある歌声が会場を魅了。青く照らされた照明が彼の心情を映し出すかのようにステージを包み込み、昭和の香りを漂わせながら、聴く者をあの時代の空気へと誘う。

「ステさん、ありがとうございます! これからも遊んでください」としっとり語り、椅子に腰掛けてギターのチューニングをする姿はまるでロックスターのよう。続く『今夜君は僕の恋人』は、不倫をテーマにした比較的新しいシングル曲。私のラジオでも紹介したこの楽曲は、アップテンポで80年代J-POPを思わせる懐かしさと、アダルトな雰囲気を兼ね備えている。危うさの中に陽気さが混ざり、不倫というテーマをどこか楽しげに描き出していた。

5曲目『ブルーズの向こう側』では、これまでの楽曲とは異なる表情を見せる。想いを込めた歌声とギターのメロディが絡み合い、感情をのせて聴き手の心へ深く届いていく。

「今日は盛大に祝ってあげてください」と主役の朝ステさんを祝福。現在は弾き語り中心だが、今後はバンド体制での企画も決まっているというニュースに、観客からは拍手が送られた。ラストは『結婚願望』。疾走感のあるメロディに合わせ、観客の手拍子が響き渡るなか、「みなさまありがとうございました!」と感謝を伝え、熱量高くステージを締めくくった。

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セットリスト
1.おいらのスマホ
2.Cherry Boy
3.髪を切った日
4.今夜君は僕の恋人
5.ブルーズの向こう側
6.結婚願望

<姫野光太郎プロフィール>
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-姫野光太郎を認めろ、さもなきゃくたばっちまえ-
シンガーソングライター。ミュージシャン。アナログレコード愛好家。笑うと歯並びが悪い。大阪。O型。天秤座。
<SNS>
X:https://twitter.com/jerk_offboy
Instagram:https://www.instagram.com/jerk_offboy
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCyuxAsuFL2aBJMb0ZDT95mg

月ノ雫

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続いて登場したのは、<僕らの旅路>の常連でもある月ノ雫。今回もこの日のために東京から遠征してきた。1曲目『四季彩』は、アコースティック・ギター1本で一瞬にして世界観を作り上げる。そこに重なるリズムや金物の音色、そしてアーティスティックで美しい歌声。まるで草原を馬が駆け抜けるかのような情景が浮かんでくる。

演奏を終えると、「東京から朝ステさんのお祝いに駆けつけてきました!」と、唄・表現☽早瀬波月が挨拶。観客席からは温かな拍手が送られる。クラップに合わせて舞う彼女の妖艶な姿、力強さと美しさを兼ね備えたパフォーマンス。そしてその世界をさらに鮮明に描き出すアコースティック・ギターの音色。二人が紡ぐ音楽は、会場を完全に月ノ雫の色に染めていく。

3曲目『紅ノ國』は、お祭りのような賑やかさを持つ楽曲。観客の間を練り歩きながら、朝ステさんのバースデーという“祭”をさらに盛り上げていく。

この日、会場ではアートペイント、朝ステさんの写真展示、おばんざいの提供など、さまざまな催しが同時進行で行われていた。東京で朝ステさんに撮ってもらったことがあるのに写真が残っていないことを、笑いながら“文句”として語る場面も。現在、月ノ雫は12カ月連続リリース中。8月1日に配信された『砂漠の花』はiTunes Storeワールドトップソング日本33位を記録。そのカップリング曲『星細工師の譜面』をやわらかなギター・メロディにのせて披露し、これまでとは違う表情を見せた。

続く『Biscuit☆』は、「どん底に立ったその時に聴いてほしい」という想いが込められた1曲。明るくポップで楽しいメロディに、サビでは観客と一緒に手拍子をしながら盛り上がっていく。拳を振り上げたくなるような力強い歌声が会場全体に響き渡った。

いよいよラスト。「次で最後です!」と告げると恒例の“次回予告”コーナーへ。「せーの!」の掛け声に合わせ、観客全員が「次回予告!」と声をそろえる。その光景に「美しい」と感謝を伝えた早瀬波月。ラストは「皆さんと一緒に歌いたいと思います!」と『人間讃歌(ニンゲンサンカ)』を披露。観客と一緒に手を振り、会場を一つにまとめあげ、トリへとバトンをつないだ。

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セットリスト
1.四季彩
2.Oh…煩悩
3.紅ノ國
4.星細工師の譜面
5.Biscuit☆
6.人間讃歌(ニンゲンサンカ)

<月ノ雫プロフィール>
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唄,表現/早瀬波月・楽器/渡邊大地|エマージェンザファイナリスト|島村楽器主催アコパラ 2021埼玉エリア最優秀受賞

<SNS>
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Youtube:https://www.youtube.com/@runasol911

tata

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この日のトリを務めたのは、この日のために再結成したユニット・tata。現在はそれぞれソロで活動する、岡田麻衣子(Vo)と前田香枝(Key)によるデュオだ。1曲目『Broken』。力強くハスキーで美しい岡田の歌声に、香枝の鍵盤が厚みと彩りを与え、一瞬で彼女たちの世界へ引き込む。

続く『Late』では、岡田が頭を抱える所作を交えて歌い、葛藤や痛み、忘れ得ぬ情動を、哀愁を帯びたピアノの旋律とともに観客の胸へ運ぶ。二人が描くステージは、まるで一幕の演劇のように感情を揺さぶった。「ありがとうございます!」その一言に大きな拍手が返る。

tataは4年前に解散。今回、朝ステさんの「一度限りの復活ライヴを」との想いを受けて再び同じステージへ。いまは各々がソロとして歩む二人だが、久しぶりに向き合った楽曲たちの“すごさ”を改めて実感し、「自分たちを成長させてくれたtataの音楽、そして今日という特別な日をつくってくれた朝ステさんへ」と感謝を伝えた。

お酒の似合う一曲『夜香木』では、澄んだ鍵盤の美しいメロディが情景を立ち上げ、色気のある歌声が大人の夜を描き出す。居酒屋やビアガーデンの賑わいに満ちた<FootRock&BEERS>が、その瞬間だけ上質なバーへと姿を変えたかのようだった。

太陽のような温かな照明に包まれて披露されたのは『gleam』。心地よい風と爽やかな海を思わせる優しいピアノに、可憐でありながら芯を持つ歌声が寄り添い、楽曲へ繊細な色を差していく。

このイベントではライブと同時進行でアート・ペイントも進む。先ほどまで青空だったキャンバスは、ステージの空気とともに夕陽の色へとできあがっていった。

最後は、ある物語をテーマに書き、解散後に改めてレコーディングした『little hero』。気づけば観客は、その音楽世界の中へ深く入り込んでいる。一本のミュージカルを観たかのような余韻を残すこの曲は、朝ステさんの“30代ラスト”を祝福する賛歌のようにも響いた。トリにふさわしい、揺るぎない存在感で本編を締めくくる。

拍手はやがてアンコールの手拍子へ。「ありがとうございます! 改めて今日は誘ってくれて、ありがとうございました。」と感謝を述べる二人。これまでの縁を振り返りつつ、4年ぶりの復活と40歳直前のこの一日が“良い日”になるよう願いを込め、解散後の彼女たちが“新曲”を披露。名残惜しさに触れつつ「時間は有限なので終わります」と告げ、今日という日に小さな贈り物を残して、一夜限りのtataの時間を美しく完結させた。

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セットリスト
1.Broken
2.Late
3.夜香木
4.gleam
5.little hero
En.新曲

<岡田麻衣子プロフィール>
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和歌山出身のシンガーソングライター。
popsの中にソウルやR&B、ロックなどの要素を含み、 力強い声で歌うパワフルな声と、歌声だけではなく胸にも響く曲も持ち合わせている。 過去にはJAZZバンド、ピアノユニットなどでのボーカル歴もあり。地元和歌山に在住し、現在は全国に活動の場を広げている。 2022年9月に自身初のミニアルバム『初めまして、私が岡田麻衣子です。』を製作。
≪SNS≫
X:https://x.com/maico__okd
Instagram:https://www.instagram.com/maico_okd?igsh=OXczZXQ1N2VhMGpp
Youtube:https://www.youtube.com/@user-zz4es9pm1t

<香枝プロフィール>
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2つのピアノ&ボーカルユニットでの活動を経て、現在は弾き語りで活動。
感情や色をインスピレーションに曲を産み出し、身近な感情や出来事に彩りを与える歌詞をのせて表現している。
楽曲メロディの美しさや『優しさ・癒し』を感じる音色に定評がある。

<SNS>
X:https://x.com/06kaekaeka20
Instagram:https://www.instagram.com/kaekae0620/?hl=ja

この日、朝ステさんの30代最後の夜となったこのイベントは、出演者・来場者それぞれが今日という日に巡り合えた縁に感謝を伝え合う、かけがえのない時間となった。

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そして、誕生日当日となる8月9日にもライブは続く。その模様は、改めて別の記事でお届けする予定だ。

<イベント関係者>
主催:Re+Create 朝ステ https://www.instagram.com/asasute.0809/
ライター:音楽インフルエンサーRYO https://www.instagram.com/ryo.2910/
カメラマン:Takumi
ライブペイント:飛鳥 https://www.instagram.com/asuka__drums/
フード:志宴 https://www.instagram.com/sien_469/

アーティストライブ情報
Sae.

2025.11.30(日)名古屋LIVE HOUSE CIRCUS
Sae.ONE MAN LIVE『からふる』
open 11:30 / start 12:00
前売り¥3,000-(別途drink)

アキコ.
姫野光太郎

2025.9.12(金) 三国ヶ丘FUZZ
姫野光太郎×三国ヶ丘FUZZ pre.
『学年暴動集会』
OPEN 18:30 START 19:00
¥2,000+1D(¥600)
【出演】
・KOTARO HIMENO & THE FUJIWARA BAND
・Buttercup Yellow
・人人オピトピア

月ノ雫

2025.08.31(日)代々木Barbara
月ノ雫×Mount.Barbarbara共同企画
「世界が終わる前に」-第拾肆夜-
OPEN 17:00 START 17:20
ADV/DOOR ¥3,000/ ¥3,500+1D(¥600)
配信 ¥2,500(2週間アーカイブあり)
出演者
東田明莉
やまだゆりこ
武岡あや乃
小川桃果

次回の大阪ライブはこちら。
東心斎橋一帯アコースティックサーキットイベント
Osaka Acoload 2025
open 12:00 / start 12:30
adv. ¥3,500 / door ¥4,000 (D別)
チケットはこちらから
https://eplus.jp/sf/detail/K000000475

岡田麻衣子

2025.08.24(日)TOIN BASE M
OPEN 17:00 START 18:00
¥2,500
出演者
阿部浩二
夕季
コシミキヤ
岡田麻衣子
堀望美

香枝

2025.08.23日(土)
『なつのあとがき 第7幕』
谷町四丁目TONE8.0BAR/BASEMENT GALLERY
open-15:00start-15:30
3500円(要1オーダー)

出演者
真田柊太
蔦江タイチ
azuna
山下優一
前田香枝
キリンイヌ
さよならオットマン
miyabi-gt
唄井直哉
テンタウ
杉本民名
ウエノタカユキ
SENtoROI
ヒカル