春も近づきつつある3月下旬。心斎橋にある、夜を灯してでは弾き語りイベント「PLUS OVER !!!! 」が開催された。
2023年12月に初開催されたこちらのイベントの第2回が幕を開けた。
芳仲悠人
イベントのトッパーを務めるのは、今回の共同主催者でもあるシンガーソングライターの芳仲悠人。「では、PLUS OVER !!!! vol.2を始めたいと思います!最初なので手拍子をお願いしてもいいですか?」と明るいメロディと会場の手拍子でスタートしたのは、「音酒と祝宴」。彼のやさしくあたたかい歌声。このまま時間が過ぎてしまっても忘れたくない。そんな歌詞からは、今日というイベントへの想いとも受け取ることができ会場内を特別な空間へと変えてくれる。
「足元の悪い中来てくれてありがとうございます。いい夜にしようと思いますので今日はよろしくお願いします!」雨の振り続ける1日にぴったりな楽曲「ペトリコール」を披露。雨の降り注ぐ音をイメージさせるようなやさしい音色が会場に響き渡り、真剣に言葉を紡ぐ彼の表情が歌声と共に心まで染み渡っていく。
「大人になったら、もうちょっとちゃんとした大人になってたはずでした。今でもいろんなことをやりながら、いろんなことを諦めながらやってます。そんな気持ちで作った曲です。」と「浮遊体」を披露する。歌詞の一つ一つがギターの音色と共に心の中にスーッと入ってくる。勢いもありながら儚げな歌声で楽曲の情景が自然と脳内で広がっていく。
「ちょっと捻くれた歌を歌います。No Nameという曲です。」先程の楽曲とはまたひとつ表情を変え、苦しみもがいて生きていく上での葛藤を描いた歌詞を伝えるこの楽曲は彼が心に持つロック魂のようなものを感じられた。
今年に入りキノミキノママというバンドでボーカルも始めた彼が続いて披露したのは、バンドの楽曲「マイナス370度の夜」。ポップなメロディで温もりを感じられる歌詞。弾き語りだからこそバントと表情を変えてあたたかさを感じられるアレンジとなっている。また、シンガーソングライター芳仲悠人とはまた違う音楽の引き出しをみることもできた。
続いてギターをかき鳴らしスタートしたのは初めてリリースしたシングルの表題曲でもある「満月のカンヴァス」。笑顔を見せながら伸びのある歌声を会場に響かせていく。ラストのフェイクとギターの音色からは今日という1日を楽しみたい、素晴らしい夜にしたい、そんな彼の気持ちが伝わってきた。
改めて挨拶をすると今日という1日に感謝をしてラストの楽曲「心象風景」を披露。楽しく笑みを浮かべながら音楽を届ける。そんな彼の姿を見て、ぬくもりのある空間の中から拍手が届けられる。素晴らしい夜の幕開けを務めてくれた。
セットリスト
1.音酒と祝宴
2.ペトリコール
3.浮遊体
4.No Name
5.マイナス370度の夜(キノミキノママ カバー)
6.満月のカンヴァス
7.心象風景
《プロフィール》
大阪を拠点に活動するシンガーソングライター、ヴォーカリスト。 2023年6月25日に1stシングルとなる『満月のカンヴァス』をリリース。 現在もライブハウス、イベントなど幅広く活動を行っている。キノミキノママのボーカルとしても活動中。
《SNS》
X:https://twitter.com/yujin_musichann
Instagram:https://www.instagram.com/yujin_musichann/
Youtube:https://www.youtube.com/@yujin_musichann
unclose
続いて登場したのは、vo.タツミトモエとpf.shimaのポップスユニットunclose。「夜を灯してに来てくれてありがとうございます!」ライブのスタートを飾るのは、「ようこそ」。vo.タツミトモエは舞いながら伸びのある歌声で観客を魅了し、華やかな鍵盤の音色と共に会場の空気感を一瞬で作り上げていく。まるで踊っているかのように鍵盤を演奏するshimaの姿も印象を残していく。そんな2人が作り出す音楽が素晴らしい夜の時間を演出してくれる。続いて、「春なので春の曲を歌います!」と始まったのは、「ハルライト」。先程からテンポを上げた手拍子がスキップをしているかのように会場に彩りを与えてくれる。ピアノソロを軽快に演奏するshimaの姿に会場からは拍手が送られた。
「今日はイベントに2つ出演する予定でしたが昼は野外だったので雨の関係で出演ができませんでした。私たちは、いろんなジャンルの要素を取り入れつつ、いろんな場所で活動をしています。」と自己紹介をすると最近できた新曲「黄金色」を披露。先程までとは表情を変え、儚いメロディを届け、会場に黄金色の世界を広げていく。
続いて軽快なリズムの中始まったのは、「カッコカコイ」。伸びのある歌声でビブラートを聴かせて感情を込めて歌い上げていく。uncloseらしい変拍子を聞かせた楽曲となっており、変化し続けるサウンドに気持ちは揺れていく。
「私達にも雨の曲があるので聴いてください。」と「雨降リノコト」がスタート。イントロのピアノの音色は、雨粒が降り落ちるかのようにきれいで繊細な音を奏でる。ビブラートとフェイクが作り出す感情のうねりのような表現。心の中にジワリと入り込んでいくメロディ。一つ一つが楽曲の世界観をイメージさせてくれる。
続いては、「onoff 」。胸も心も踊り出すジャジーなメロディ。そんなメロディにのせてvo.タツミトモエはリズムにノリながら歌を届ける。「皆さんにもふるさとがあると思うんですが、そんなふるさとを思い出しながら聞いてもらえたらと思います。」と「Omoimachi」を披露。一人一人が脳内で情景を浮かばせるような優しい鍵盤のメロディ。サビになると変化を見せ踊りたくなるような明るいサウンドに。最後まで、uncloseらしく個性を打ち出した素晴らしい音楽で会場を魅了してくれた。
セットリスト
1.ようこそ
2.ハルライト
3.黄金色
4.カッコカコイ
5.雨降リノコト
6.onoff
7.Omoimachi
≪プロフィール≫
vo.タツミトモエとpf.shimaで結成したユニット。
R&Bやジャズやソウル、など幅広いジャンルの音楽をベースにオリジナルポップスを制作し、関西のライブハウスを中心に活動中。FM802&グランフロント大阪公認のミュージックバスカーとして、イベントやストリートライブにも参加中。
《HP/SNS≫
HP:https://www.unclosemusic.com/
Faicebook:https://www.facebook.com/unclosemusic?ref=embed_page
Youtube:https://www.youtube.com/@shimaunclose9873
大瀧ヌー
イベントのトリを飾るのは、今回東京からのゲスト出演となる大瀧ヌー。彼特有の歌声が儚さを見せてスタートから一瞬で虜になっていく。1曲目は、「シェイクハンドエイク 」は、各アクトが見せてくれた雨を題材とした楽曲。にがくてあまい彼の歌声に魅了されていく。「のっけからライブ中にハプニングがありましたね。」とライブ中に機材トラブルがあったことをこれがライブの醍醐味と笑いながら伝える。「僕の音楽は、不完全であることを大事にしてます。そんなことを歌った曲を歌います。」と「いとおしいのはいつも不完全」を披露。ぬくもりのある照明の中に彼の美しくも儚い歌声があわさり、会場内に広がっていく。そんな彼の歌声に思わず私のライブレポートを書く手を止めてしまうくらい魅了されていた。不完全だからこその美しさ、AIが台頭となる現代社会に訴える愛の歌だ。
音響トラブルが続く中、急遽生歌で歌を届ける。配信を心配する優しい一面もみせてくれた彼が、急遽のトラブルで想定とは違う形で「棘」を披露。アコースティックギターの優しい音色と感情のこもった歌声が会場のひとりひとりの心の中に染み渡っていく。「幼少期から変わった子だと言われてきました。今はステージではどんだけかっこ悪く困難があっても自分らしく踊っていこうよという想いを込めて作った楽曲です。」と「踊れミミック」を披露。彼のこれまでの音楽生活を表すかのような、歌詞。楽曲を聞いていると気づけば心も体も踊り出したくなる。
「ライブっていろんな場所から集まってくれます。みなさんが心を揺らしてくれてるのかは自分次第になると思います。先日、祖母が亡くなりました。そのことがあって歌いたいなと思った楽曲を歌います。輪郭。」彼のこれまでの人生、そして祖母への想いが歌詞や歌声、表情の節々から伝わってくる。そんな想いが会場の人達に伝わったことだろう。
「大阪に歌いに来るのは4回目です。大阪生まれで大阪の大学に行きました。大阪にいた時は祖母の家で過ごしていました。大分昔は迷惑もかけた。僕の重さを受け止めてくれてありがとうございます。」とイベントに来てくれた人達に感謝を伝えて最後の楽曲「Weight」を届ける。彼のこれまでの人生が想いとして歌となりあなたの想いへと繋いでくれている。笑みをこぼしながら真剣に歌い上げる彼の姿から伝わってくる気持ちが心の奥底へとスーッと入り込んでいった。
感謝の拍手からアンコールに変化すると「アンコールを考えていませんでしたが、嬉しいです!最後に1曲歌います。」歌う理由を問うような楽曲「monologue」を最後に届けてくれた。ユーモアがあり、やさしく温もりのあふれるライブで温もり溢れるイベントにしてくれた。3組の違った個性を持ったアーティストによる雨夜のステージ。今宵の夜も最高の時間が締めくくられた。
セットリスト
1. シェイクハンドエイク
2. いとおしいのはいつも不完全
3. 棘
4.なまえ
5.踊れミミック
6. 輪郭
7.Weight
en.monologue
≪プロフィール≫
YouTubeへの弾き語り動画投稿をきっかけに、2013年に作詞作曲を始め、シンガーソングライターとしての活動をスタートさせる。天性の1/fゆらぎをもつと言われるスモーキーボイスに叙情的なメロディライン、物語的でエモーショナルな世界観に定評がある。アートワークやイベントディレクションまでを一貫した表現として自らで手がける。音楽のための音楽に止まらず、他の様々な要素と融合させ、楽曲のストーリーの中に深く入り込ませるような物語性の強い世界観を表現する独立型SSW。
《HP/SNS≫
HP:https://ootakinu.base.shop/
X(旧Twitter):https://twitter.com/OotakiNu
Instagram:https://www.instagram.com/ootakinu
Youtube:https://www.youtube.com/dinolifa
出演者ライブ情報
【 芳仲悠人】
結城アツシ × 芳仲悠人 巡回25周年記念公演
『NO MINOH NO MUSIC』
2024年4月20日(土)
心斎橋 歌う魚
住所:大阪府大阪市中央区東心斎橋2丁目8−9日宝コア笠屋町 4Fビル
【unclose】
5/2(木)の20時頃定期配信ライブを開催!
【大瀧ヌー】
『世界は今夜オレたちのもの』第4夜
6/8(土)@歌う魚
市川セカイ
大瀧ヌー
北小路直也(MILKBAR)
[S.G.]森本真伍&キャプテンOG(soratobiwo)
■イベント関係者
会場:kitchen×music×bar 心斎橋 夜を灯して https://twitter.com/yoruwotomoshite
カメラマン:erina tennoujidani